ところがこのAMTは先進国ではすこぶる評判が悪かった。

さて、スズキはご存じの通りインドで大成功を収めている。インドでは今猛烈な勢いでクルマが普及しており、そうすれば当然イージードライブの要求は出てくる。ところが、従来のトルコンステップ型のオートマや、CVT無段変速機)、あるいはDCT(ダブルクラッチトランスミッション)などの変速機は新興国ではインフラ的にメインテナンスが難しい。本来はクリーンルームで整備しなくてはならない精密機械なのだ。つまり、オートマ需要の増大が予測されるが、既存のオートマはどれも投入しにくいというのがインドの現状である。

 http://ja.mangareborn.jp/users/14723 http://www.nyan-wan.com/users/view/314従って、これまではマニュアルトランスミッション1本で戦ってきたのだ。スズキはここに投入できるイージードライブ用トランスミッションとしてAMTを開発し、現在インドにトランスミッション専用工場を建設中である。何と言っても変速機の本体は頑丈で単純なマニュアルトランスミッション、どこでも修理が可能だ。追加されるアクチュエーターは壊れればそっくり部品交換で済ますことができるので新興国でも心配ない。

http://www.rokyu.net/user_information1-59086.html http://www.otoku47.com/author/furuiuiur/ ところがこのAMTは先進国ではすこぶる評判が悪かった。特に日本では拒絶に近い反応である。何がそんなに嫌われるのかと言えば、「トルク抜け」と呼ばれる現象だ。アクセルを踏んでクルマが加速する。エンジン回転が一定まで上がると、AMTはクラッチを切って変速操作に入る。この間、クルマを押していた力が抜け、グッと失速したように感じる。全開加速の場合など本当に頭が前に振られるような感じを受ける。マニュアルトランスミッションに乗り慣れた人なら、変速ポイントを感覚的に覚えて、そこで少しアクセルを抜いてやれば比較的スムーズに加速することもできるのだが、そういう面倒なことが嫌だからと自動変速機を選ぶという人にとっては、かなり不快な現象だったのである。